それから、少しの間。 静寂がこの空間を包み込んだ。 そして上城君がゆっくり口を開いた。 「....五十嵐」 うまく聞き取れなくて もう一度聞き返す。 「え?」 「五十嵐、だろ?」 吹き荒れる風が 私の髪を舞い上がらせる。 それは、まるで今の私の気持ちを 表すかのようで。 一瞬、息を呑んだ。