‡〜捕われ〜‡

声が聞こえる…

声と呼ぶには不確かな響きだけれど…

呼んでいる………




光りを感じる…

遠いけれど確かに感じる光り…

探さなければ…

調べを聴き…




導きの光りは灯っているのだから………




目を開けると、先ず鈍い痛みが感じられた。
脈打つよいに痛むお腹を押さえながら、身体を起こすと、そこは広い畳の敷き詰められた部屋。
中央にポツンと敷かれた布団に寝かされていた。

「目が覚めたか」

後ろから掛けられた声に鋭く振り返り、その人物を睨みつける。

「そう警戒するな。
私とお前は従兄妹だぞ」

その男は、着物を適当に着流して、優雅にこちらへと嘘臭い笑みを浮かべながら歩みよってきた。

「従兄妹?」

立ち上がり、距離を縮めないようにそろそろと後退する。

「そう。
君の父は私の母の弟にあたる。
異母の姉弟になるがな。
だが、まぁ間違いなく従兄妹だろ?」
「…」

男は歩みと止め、面白い物でも見るように小馬鹿にした笑みを浮かべる。

「君を呼んだのは、他でもない。
私と結婚してもらおうと思ってね」
「っ…何を言っている?」
「調べたよ。
君は力を持っているよね。
それも相当大きな力だ。
今の一族には残念ながら君ほど大きな力を宿した者はいないんだ。
だから、当主である私が君と結ばれることで、再び一族に力を取り戻そうというわけだ」
「当主っ…あなたが?
随分勝手な事を言うのね」
「当主だからね。
勝手が許されるんだよ」
「バカじゃないの?
そんなこと私が、はいそうですかと承諾すると思うの?」
「なぜ承諾できないんだい?
光栄なことだろう?
当主の妻になれるんだよ?」
「ハッ。
人を馬鹿にするんじゃないわよ!
あんたみたいな人生何となく生きて、ちやほやされていい気になってるような人ッ。
ごめんだわッ!」