親子ケンカ~30センチの差~

入学式のころ

クラス発表を見たくても、前に沢山の人がいて


背が小さい私では見えなくて、イライラしていたら。

「あの、僕が見ましょうか?」


と、話かけてくれたのが波多野さんだった。


まず、思ったことは「デカイ」


顔をずっと見てると首が疲れそうになる。


「あっはい。ありがとうございます。

私は山本 伽凛で、1年です。」


「山本 伽凛さん、ちょっと待っててね。」


そう、言って真剣に私の名前を探してくれた。


見つけたのか、ニコニコしながらこっちに向かって

「1年2組だって!」


と、笑顔で教えてくれた。


やっぱり、顔を見るのは首が少し痛くなるからめんどくさくて嫌だけど


この、笑顔が見れるならいいのかなとも思えた。


「ありがとうございます。あの、先輩ですよね?名前は?」


「あっ、言ってなかったね。波多野
夕3年だよ」


優しくて、男らしい波多野さんに一目惚れしたのを覚えている。