クールな彼と放課後の恋

「お姉ちゃんの友達?」

「友達…っていうか…同じクラスで…」


話したことないけど…

だから、名前くらいしか知らない…





「ご、ごめんなさい…私…」


今にも泣きそうな顔をして、謝る笹山さん。




「ええ!じゃあ、私をつけてたのって笹山さん!?」

「ごめんなさい、本当にっ!これを渡したくて…」

「え?」


笹山さんはカバンから何かを出して、私にスッと差し出した。






それは…数日前、私がなくしたヅラにゃんこのマスコットだった。





「これ…拾ったから、渡したくて…」

「・・・・」


私たちは、言葉を失ってしまった…

そのまま数秒間…辺りはしーんと静まり返った…








「紅茶とコーヒーどっちがいい?」

「じゃあ紅茶を…」


笹山さんをわが家に招き入れ、私はアイスティーをいれた。




「ありがとう」

「あとこれ…夕飯まだでしょ?良かったら食べて!」


私はアイスティーと一緒に、おにぎり2つと、夕飯の残りのハンバーグを出した。




「えっ、そんな!悪いよっ…」

「いいのいいの♪私の落とし物拾ってくれたんだもん…お礼させて?っていっても、こんなことしかできないけど(汗)」

「ううん!すごく美味しそう…実はお腹空いてたの…」


顔を赤くする笹山さん。




「だよね(汗)もう8時過ぎてるもん。遠慮しないで食べてね」

「…うん、ありがとう。いただきます」


そう言って、笹山さんはやや遠慮がちにおにぎりを一口食べた。


私はダイニングテーブルに座る笹山さんの隣に座り、アイスティーを飲んだ。

稲瀬と修君と日和は、リビングでテレビを観ている。





「…お邪魔しちゃって…本当に良かった?」




笹山さんが稲瀬たちを見て、心配そうに言う。





「全然大丈夫!私こそ、引き止めちゃって大丈夫だった?」

「私は大丈夫っ!無事に落とし物渡せて、ホッとしてるの…」





笹山さんは、表情を曇らせた。




「私…昔からすごく人見知りで……人と関わるのが苦手なの。高校入っても、友達もできないし…」

「笹山さん…」

「だから、藤川さんがマスコット落としたの見て、それ拾ったはいいけど…なかなか話しかけられなくて(汗)もたもたしてたら、時間がどんどん過ぎちゃって…」