「…そんなに腹減ってんなら、やるよ」



っ!


私に、パンを1つ差し出す稲瀬。





「い、いいですっ」


今すっごくお腹減ってるけど、私の胃袋は女子並みだよっ






「「いただきます」」


私と稲瀬は、同時に手を合わせて、お弁当を食べ始めた。



正直言って…

こんなにお弁当が美味しく感じたのは、 初めてだった…



たくさん泣いたし、

お昼過ぎてたから余計だ。





「…いらないなら、もらう」

「あ、ちょっと!」


私のお弁当箱に入った唐揚げを、一つ奪って食べる稲瀬。





稲瀬がいて良かった。


本当にそう思う…



私ひとりだったら、今頃どうなっていただろう…?

きっと、まだ涙は止まってなくて…

お弁当にも手をつけられなかっただろうな…



ありがと、稲瀬。





今ホッとしてお昼を食べていられるのは、あんたのおかげだよ。






おかしいな。


稲瀬といると、


ドキドキしたり…


ハラハラしたり…


緊張したり…


ムカついたり…


安心したりして…




なんだか、忙しいよ。