クールな彼と放課後の恋

たかが3円…されど3円……




「割引券等ははお持ちですか?」



私の割引券は稲瀬の手にある。




「あ、ありません」


私のバカ…






買った食材を袋に詰め、
日向とスーパーを出る。




「もう真暗だねー」

「うん…」


春になって日が延びたけど、
やっぱり6時過ぎると暗いな…




「藤川ー」


すると稲瀬弟が私たちに近づいてくる。




「もう遅いから送ってくよ」


へ??

送ってくって…




「大丈夫だよ。うち近いから」


日向がそう言って、
稲瀬弟に笑顔を返す。




「兄ちゃんの命令だから逆らえないよ」


逆らえない?



「そういうこと」


ガサ…



「あ…」


すると私の持っていたスーパーの袋を、
後ろから稲瀬が掴んで持ってくれる。




「悪いよっ」

「家どこ?」