悠が今、怒って女子グループに詰め寄ったあと…少し悲しい顔をしてたことに気づいてた。

小言を言われてそれを聞くよりも、私にとっては辛い。


小言や陰口を言われたっていい…今は親友や恋人や家族、私を想ってくれる人がたくさんいるから…そんなこと気にならないよ。




「…わ、わかったよ」


グループのリーダー的な女子が、渋々そう言って眉をしかめた。その顔は素直に言っているものではないと明らかにわかる顔で、さすがにカチンと来る。





「悠じゃないけど…しつこいと、さすがに私もキレるかもよ」

「え?」



バコンッッッ





私はリーダー的な女が寄りかかっている、昇降口のガラス張りの壁を思いっきり殴ると、女子たちは驚いたと同時にすごくびっくりしていた。

私はフンと鼻をならして笑い、小走りで悠の元へ戻り、2人で手をつないで歩き始めた。





「お前面白過ぎる…」


さっきの私の行動を悠はクスクスと笑い、からかった。



「だって…つい」

「本当最高。お前ってずっと飽きなそうだよな」

「そうかな…」


「飽きなそう」の意味はよくわからなかったが、なんだか嬉しかった。





「ん……」


隙をついたように、歩きながら私に軽くキスをしてくる悠。



「ちょ…ここ学校だよ!」

「いいじゃん。もう裏庭の近くだし、誰も見てねえよ」

「そうかなぁ」


キョロキョロと辺りを見回してみるけど、とりあえずは誰も見てはいなかった。




「今日はお前が草むしりやれよ。俺は水やるから」

「えーずるい!」


先に歩いていく悠を私を追いかける。向かう先は、裏庭の花壇がある場所…

私と悠の距離を縮めてくれた、園芸委員の仕事がまた始まる。





「待ってってば~」


先を歩く悠に追いつき、腕を両手を絡ませた。悠を私を見下ろして優しく笑い、また私にキスをした。




悠が前にいてくれるなら、いつだって走り出せる…

何度でも悠を追いかけるよ…


悠はいつも、私の一歩先を行く…というか、一歩先にいてくれるんだ…

私がいつでも追いつけるように…






end...♡