教室が拍手に包まれる。私は恥ずかして俯くだけで精一杯だった。









「本っ当に恥ずかしかった…」


その日の放課後

これからデートだという香穂と永井と教室で別れ、私と悠は2人で下駄箱にいた。話の話題は当然、さっきの委員会決めのことだ。



「ハハ。お前テンパってたよな」

「ああゆうの苦手なの」

「知ってるよ」


先に靴を履き終え、私の手を握る悠。私悠の手を掴みながら、なんだか贅沢な気持ちで靴を履いた。


悠に手を支えてもらいながら靴を履くなんて、なんか姫になった気分♡

委員会もまた同じだし、今日はいい日だな!




「見てよ、あれ…」

「稲瀬くんと付き合ってるからっていい気になっちゃって…」

「うざ」


下駄箱を出ようとすると、その近くから視線を感じ、おまけに小言が聞こえてきた。そこに目を移すと、そこには以前仲良くしていたあの女子グループがいる。

彼女たちに小言を言われるのは、珍しいことではなかった。あのグループを抜け香穂と仲良くなり出した頃、すれ違いざまに「うざい」と言われたこともあった。

私は無視して気にしないようにしていたけど、こんなふうに悠と一緒にいるときに言われたのは初めてだ…


悠に聞こえてないよね…?

聞こえてませんように…


だって、こんな彼女嫌でしょ?

同級生から嫌われてる彼女なんて…いくらなんでも引くよね?






「っ!」


その時…歩いていた悠の足がピタッと止まり、私はとっさに振り向いた。




「…どうしたの?」


悠にそう聞くと、悠は私から手を離して
あの女子グループの元へ…





や、やめて!


私は悠を追いかけ、悠の制服のブレザーを掴み「やめて!」と言おうと思ったが、もう遅かった…




「お前らもしつこいな…」


悠の声のトーンはかなり低く、尋常じゃないくらいの怖いオーラが出ていて、私も女子グループたちもめちゃめちゃビビっている。




「これから言いたいことがあったら、陽葵じゃなくて俺に言え。それに…あんまりしつこいと本気でキレるよ?」

「・・・・」


に、兄さん怖いって!顔が怖いって!!




「ゆ、悠…もういいよ…私大丈夫だから!」


悠の腕を引っ張り、女子グループから離すと…女子たちと目が合い、すぐにその目線を外せなかった。私は悠の腕を掴みながら、少し迷ったが口を開いた。






「私のこと…気に入らないのはわかる……だけど、影で私のこと何言っても構わないけど…悠と一緒にいるときはやめて。私もやっぱりへこむし…何よりも、悠が嫌な気分になることが一番嫌なの…」