日向は口を尖らせて言うと、リビングへ行き学校かばんのそばに置いてあったマフラーを首に巻いた。




「修、早く行こう!委員会に遅れるよ」

「あーちょっと待って」


日向が、リビングでテレビを観ながら歯を磨く修くんに声をかけると、修くんは慌てた様子でバスルームへ入って行った。




「…委員会に遅れるって・・・修くんも同じ委員会なの?」


私は流し台の食器を洗いながら、背中越しに日向に聞いた。




「うん、そうだよ」

「そうなんだ…ずいぶん仲良しだね」


最強は修くんのことを「修」って呼び捨てしてるし…前までは苗字で呼んでたのに…




「え…だって……」

「付き合ってるしな」


え…



日向の言葉を修くんが遮り、私はそれを聞いた途端…手に持っていた食器がスルッと手から落ちた。





「え!?つつつ、付き合って…る!?」


水道の水を止め手をエプロンで拭き、日向たちに近づいた。

ソファーに座って歯を磨いている悠は、すました顔をしてテレビを観ていた。





「付き合ってるっていつから!?私全然知らない…なんで言ってくれなかったのよ?」

「お姉ちゃんだって、悠くんと付き合ってること秘密にしてたじゃん。まあ、今になればその気持ちもわかるけどさ…」


顔を赤くして、恥ずかしがりながら言う日向。今までは芸能人にしか興味がなかった日向が、こんな顔をするなんて…日向をよく知ってる私にとっては、すごく驚くことだった。





「ま、まぁ…なんだその・・・ま、そう言う事だから…」


照れくさそうに頭をポリポリとかく修くんは可愛く見えて、反対に少し男らしくなったようにも見えた。




「行くぞ日向。遅れたら先生うるせーから」

「う、うん…いってきます」


日向と修くんは、気まずそうに家を出て学校に向かった。家に悠と2人きりになった私は…





「な、なにあれー!??反抗期!!!?」

「…」

「ねえ悠ってばっ!!」

「…バカ」


悠はソファーから立ち上がり、バスルームに入り洗面所でうがいをする。私は悠の後ろに立ってうがいが終わるのを待っている間、考えるのはもちろん日向と修くんのこと。