「ご飯出来たよ~」


制服にエプロン姿の日向が、リビングにいる悠と修くんに声をかけた。同じく、制服にエプロンをしている私は、お茶碗に4人分のご飯をそれぞれ盛った。





「飯だ飯だ~♪」


先にキッチンのテーブルに来たのは修くんで、席につくとすぐに箸を持ち、おかずのウィンナーに手をつけた。

「いただきますは!?」と日向に注意され謝る修くん。2人の仲の良さに、朝から心が温まった。




ギギ…


少し遅れてやって来たのは悠で、テーブルの椅子を引きそっと腰掛けると、悠はそばにあったお茶を一口飲んだ。

トレーにご飯の入った4人分のお茶碗を乗せて、テーブルにそれぞれ置くと、悠は「ありがとう」と言って笑顔を私に向けた。



気がつくとクリスマスとお正月は過ぎ、つい先日三学期が始まった。

まだ悠のマンションに住んでいるが、春頃には私の家のリフォームが終わるので、高2になる頃には私の自宅にまたみんなで戻る予定。




「いただきます」


修くん以外の3人は、ほぼ同時に朝食を食べ始める。私は箸を持って、最初に味噌汁をすすると、次はご飯の入ったお茶碗を持った。




「その茶碗…もしかして…」

「え?」


味噌汁をすすりながら、悠が横目で私のお茶碗を見つめた。



「ああ、これ?わかる?懸賞で当たったヅラにゃんこのお茶碗だよ。ほら…一番最初に悠に応募シールもらったやつ」

「俺らの最初の出会いだよな。人が食ってるパンのシールくれなんて…今考えても笑える」


クククと笑う悠に、私は恥ずかしくて顔を赤くしてうつむいた。


こんなふうな朝を、もう何回迎えたんだろう…

前は日向と2人だけだったのに、今は悠と修くんの4人でいることが当たり前になってきた。


いつもの朝がこうして始まる…これが私の朝だ。







「あ、あとは私がやるから先に学校行きなさい。今日の朝は委員会があるって言ってなかった?」


朝食後。流し台に重なっている食器を洗おうとする日向を、私はそう言って止めた。




「本当?ごめんね…じゃあ悪いんだけどお願いしてもいいかな?これから生活委員で、学校の周りのゴミ拾いをやるの」

「そっか。気をつけてね…寒いからマフラーしてきなよ」

「わかってる~」