嬉しかったかって……

「違うよ」とも「そうだよ」とも言えない…


私は俯いていた顔を上げたはいいが、どうしていいかわからず、悠から目をそらすことしか出来なかった。それを見て、悠はまたクスッと笑う…


これはからかわれているんだろうか…?

いや、多分そうだね…


悔しいけど…こういう時のクスッと笑う悠は、すごく好き。

学校や外では絶対にしない笑顔だから…自分にだけ見せてくれるそんな顔を、私だけ独り占めできる…

それだけで、幸せなの。





「んじゃあ今日は…添い寝くらいはしてもらうかな」

「えっ!!」


そ、添い寝って…!?

一緒に寝るってことだよね…




「…嫌だ?」

「そ、そうじゃないけど…」


隣に悠がいるなんて、緊張して眠れないかも…




「大丈夫。何もしないから」

「何その顔…なにか企んでるでしょ?」


私の肩にぽんと手を置く悠の顔は、なんだか意地悪っぽい顔だ。それを見抜いた私は、疑うような目で悠を見つめる。




「いや…ただ最後までじゃなくても……ちょっとだけ進んでもいいんじゃないかなと思ってさ」

「っ!」


す、進むっていうのは…つまり……体の一線のことだよね…

ここは家だし、今日は2人きりだし…そういう方向にいくのは不思議じゃないこと。





「…嫌?」


ちょっと不安そうな顔をする悠。



「嫌じゃないよ!悠じゃなきゃ…嫌だもん…ただ、緊張しちゃって……私そういうの本当にうとくて…」


恥ずかしい気持を押し殺して、自分の気持を打ち明けると、悠はまた私の好きなあの笑みを見せた。




「焦らなくていいよ。お前のことは大事にしたいから…ゆっくりお前のペースに合わせるよ」

「悠…」


そう言って私を優しく抱きしめて、悠は私の頭にそっとキスをした。




やばい…幸せ過ぎ……






「…っ………どした?」


少し押すくらいの勢いで悠に抱きつくと、悠は一瞬よろけ不思議そうに言う。