アハハハと笑うお母さんを、私と日向はまた呆れて見る。

そして人数分入れた温かいお茶と、お母さんリクエストのおせんべいをテーブルに出した。





「…お母さん…今日泊まるの?」


お茶をすすりながら、聞く私。




「うーん、どうしようかな…」

「そういえば、今日は荷物少ないね」


海外から帰宅した聡美さんは、それなりに荷物があったけど…お母さんはバーキンのバックひとつだけ。いつもは必ず1泊はするから、キャリーバックで来るのに…




「あー…今日は泊まりに来たわけじゃなくて…聡美ちゃんとお母さんは、あんたたちに話があって来たのよ」

「話…?」


急に真剣な顔をするお母さんと聡美さんは、顔を見合わせた。

こんなお母さんの顔…久しぶりに見る。

聡美さんも…なんだか複雑そうな表情をしてる。


一体話って何なの?










「あんたたち…ここを出て東京で私と暮らすのよ」


「え!!?」




お母さんは、私と日向を真っ直ぐに見つめて言った。



ここを出て東京で…?

なんで?

なんで急に……








「悠、修…」



今度は、聡美さんが口を開いた。

聡美さんもお母さん同様、悠と修くんを真剣な顔をして真っ直ぐと見つめている。




「あなたたちは、お母さんとパリで暮らしましょう」

「は!!?」



聡美さんの言葉に、修くんは眉をしかめ、悠は何も言わずにただ驚いていた。



きゅ、急になに!?


お母さんたち…久しぶりに帰ってきたと思ったら、どうしてこんなこと言うの?




私は東京に住んで…


悠は…パリ………に?






嫌だ!


そんなの…絶対に嫌だ!








引っ越したくなんかない!






悠と離れたくないよ!!!!