クールな彼と放課後の恋

怒るなんて…とんでもない。

でも、超恥ずかしかったのは事実。


あんなに人がいる前で、やることないのに…

だってキスって、2人きりでするもんでしょ?


自分の唇を、指で触ってみる。

さっきこの唇は、稲瀬とキスをしたんだよね…



う…やばい……

顔が赤くなる…




チュロス食べたあとだったから、甘い砂糖の味がした。


まだ残ってる…

味も感触も…感覚も…




このまま私たち、どうなっていくんだろう…


稲瀬に聞くべき?

『私のこと好きなの?』って…


いや!

それは嫌だし、なんか感じ悪いよね。


てゆうか、私の中では…もう稲瀬の気持ちはわかっていた。

うぬぼれてるって思われるかもしれないけど、わかっている自分がいたんだ。


それくらい、稲瀬といたから…

私は稲瀬の、そんなことまでもうわかってる…





だけど…聞きたいな…





稲瀬から、好きって言われたい!








「…アホ面」

「えっ」


稲瀬に笑われた。

今の顔を見られてたみたいだ…




これでいいのかも。

私たちには、ロマンチックなことは似合わない…

お互い好き同士になれたなら、自然に任せるのが私たちなのかもしれないな…





「…悪かったよ」




急に謝り始める稲瀬。



なんで謝るの?

いい意味でも悪い意味でも、私は一瞬で不安になった。





「初ちゅーみんなに見られたから、怒ってんだろ?」

「…べ、別に怒ってないよ……恥ずかしかっただけで…」


“ごめん”てそういう意味か…



「確かにあんな大勢の前でキスなんて…お前からしたら嫌だよな。俺はアリだけど」

「アリって…恥ずかしくないの?」


もしかして、キスなんてなれてるとか…?

だとしたら、ショック!





「…見せつけたかったってことだよ」

「み、みせ…見せつける!?」