「どうだろ…俺特になにもしてない。ただここにいただけ」

「そう…」


だけど屋台の前には、結構な人だかりが出来ていた。

しかも、女子生徒ばっかりだ…



稲瀬と永井のおかげだな、きっと…

やっぱり人気者だね。





「どこから行く~?」


永井が稲瀬に聞いた。




「どこでも」

「私も」


稲瀬と回れるなら、どこだってOK!




「じゃーとりあえず何か食お」

「じゃあせっかくだから、うちのクラスの焼きそば買おうよ!」


香穂がそう言って、屋台を覗く。




「そうだね!食べよ!」

「えー…さっきから焼きそばばっか見てたから、俺食う気しない」


嫌そうな顔をする永井。




「私たちが切った野菜なんだから、一つくらい食べなさいよっ」

「そーだよ、良かったら食べて」


永井に対して強い口調で言う私と、反対に優しい口調で言う香穂。




「じゃー買っといて。俺ら2年の先輩のクラスに顔出してるから、終わったら来て!」

「「え…」」


永井と稲瀬は、私たちに背を向けて行ってしまった…





「…なにそれ」

「一緒に回るんじゃなかったの?」


私と香穂に冷たい風が吹く。




「でも焼きそば買えば、また合流するからいっか☆」

「そ、そうだよね!」


私と香穂は屋台に並び、焼きそばを4つ買ったあと、下駄箱で靴を履き替え、二階へ向かった。






「あっ!陽葵、陽葵!」

「ん?」


途中で、香穂が私を呼び止める。

私は立ち止まって、香穂が指さした方をみると…




さっきパンフで見て、気になっていたチュロス屋さんをやっているクラスを発見!





「チュロスだ~♪」

「諒たちと合流する前に買おうか?」

「うん!」


私たちは、チュロス屋のクラスへ入る…

タイミングよくお客さんは私たちだけで、すぐに私たちの番に。




「いらっしゃいませ」

「えっと…抹茶とメープルを1つずつ…」

「ごめんなさい!メープルは終わっちゃって…」

「えっっ!」