クールな彼と放課後の恋

­­「あ~心配よ、もうっ。こんなことが起きるなんて想定外だったわ」

「なにを今更…本当に私たちは大丈夫だよ。稲瀬もいるし…」


まるで自分の彼氏みたいな言い方しちゃった…

でも、今は稲瀬に甘えちゃダメかな?


稲瀬に頼れるってことだけで、すごく安心できるから。

それに、お母さんにだからいいよね。




­­「そりゃあわかってるわよ。悠くんと同居させてて良かったわ…今回ばかりは、お母さんも焦ったわ」

「私も。家が少し燃えちゃったし…」

­­「どれくらい燃えたの?」

「リビング側の壁と…あと屋根が少しだけ。二階はそんなに被害ないから、幸いだった…」


それぞれの部屋が二階にあるから、私物は全部部屋に入ってるし…





­­「…そう。家のことは心配しないで、お母さんが全部やるから…明日の朝一そっちに行くから、明日は学校休みなさい。日向にもそう言っといて」

「わかった」


それから少しお母さんと話して、私は電話を切った。








「お母さん、何だって?」


日向にスマホを渡す私。




「明日来るって。家のことは心配しないでってさ」

「そう…」


不安そうな日向。

私は日向の肩に手を回した。






「家が燃えちゃうのって悲しいね…」

「そうだね…」


コゲた家から目をそらして、周りを見る。



野次馬は少し減ったが、まだ見物人は少なくはない。

これだけ近所の連中がいるなら、きっと日向の友達にも伝わるはず。


明日は学校休むとしても、これから学校で日向はどんな扱いを受けるかな…

私の通ってる高校はここから離れてるから、同じ学校行っててこの火事のこと知ってるのは稲瀬と永井だけ。

きっと…私たちから言わない限り、知られることはない。



だけど、日向は違う。

日向の中学はすぐそこだから、同級生はほとんど近所に住んでる。

これだけの見物人がいるなら、ほぼ知られてもおかしくない。


かわいそうとか…同情されるのは、ちょっとキツイかも…

できればそっとして欲しい…


大丈夫かな、心配だな。




「日向。コンビニでも行くか?のど乾かね?」