クールな彼と放課後の恋

私の家の山田さんの家側の壁は、真っ黒になりところどころ燃えて穴が空いてしまっている。

火災に早く気づいたせいか、火は幸いにも早めに消されたけど、よく見ると爪痕は結構残ってしまった…


でも、そんなことあんまり言ったら悪いよね…

山田さんちは、1階のキッチンほぼ全焼だし…



「うわーんあなた~」

「生きててよかったな~」



・・・・・。


泣きながら抱き合う、山田さん夫婦。

けど、山田さんは結構元気そうだけどね(笑)


普段からすごい明るい人だから、こういう災難があっても前向きに受け取れる人なのかも。






「…大丈夫か?」





すると、私の隣に稲瀬がやって来る。




「…うん、平気。てか稲瀬は大丈夫なの?寒くない?」


まだ上半身裸のままだけど…




「へーき。9月だけどまだ暑いだろ」

「まあね…」


家の中に入って服取りに行きたいけど、まだ許可が出てないしな…





「心配すんな」

「…!」


そう言って、私の頬をムニッとつまむ稲瀬。





「すげえ肉付き」

「や、やめてよ!」


稲瀬の腕をペシッと叩く。





「その顔その顔。お前はそーしてればいいんだよ」

「・・・・」


稲瀬ってばわざとやったのか…

私が落ち込んでると思って…





「ありがと」


ボソッとそう口にしたあと、少しだけ泣きそうになった。



家が少し燃えて悲しいからとか…不安だからとかだからじゃない…


稲瀬がいて、安心したからだ。

肩の力がスッとぬけたよ…






「お姉ちゃん、お母さんから電話…代わってって」

「え?お母さん?」


日向が自分のスマホを私に差し出す。

お母さんに連絡したみたいだ…


私は日向からスマホを受け取り、耳に当てた。






「もしもし?」

­­­­「ちょっと大丈夫なけーーーー!!!!!!!?ケガはーーーーー!!!!?」




う…

すっごいボリューム…




「…大丈夫だよ。日向からも聞いたでしょ?」

­­­­「聞いたけど心配よっ!ったく火の管理はちゃんとしろよ、山田さん(51)!!」


お母さん…

さりげなく山田さんの奥さんの歳バラさなくても(笑)