クールな彼と放課後の恋

私の手を強く握り締め、上半身裸の状態でバスルームを飛び出す稲瀬。


リビングに出ても、煙や炎があがっている様子はなく、そのまま2人で玄関で慌ただしく靴を履いた。

リビングには日向たちの姿はなかったため
、先に外に逃げたんだと逃げるのに必死の中、頭の片隅で思った…





ガチャっ




ざわざわ







外へ出ると、近所の人達や野次馬の人だかりが出来ていた。




「あ、お姉ちゃん!良かった」

「日向!」


家から少し離れたところで、日向たちがいるのを発見。

日向は少し泣きそうな顔をして、私に駆け寄る。





「どうしたの!?火事だって…?」

「う、ん…そうみたい…見て…」

「え?」


日向の目線をたどると…







家のお隣さんの家のキッチンから、白い煙と炎が上がり、もうすぐ私たちの家に届きそうになっていた。





「火事って…お隣さんの?」

「そうみたい…お姉ちゃんがお風呂に入ってすぐに、右隣のおばちゃんが来て教えてくれたの。みんなすぐに逃げなさいって」

「・・・・・・」


右隣のおばちゃんは、いつも私たちの面倒を見てくれるおばちゃん。

炎があがっているのは、反対の左隣の家だ。





「消防車はまだこないのか!?」

「このままだと、どんどん燃え広がるぞ!」


近所のおじさんたちが、慌ただしくしている。

そしてとうとう炎は発火先のキッチンから、私の家の屋根に火が移った…





「お姉ちゃん…どうしよう……お母さんもいないし…」

「…大丈夫だよ」


私は日向の手をギュッと握った。





本当は全然大丈夫なんかじゃない。

不安で不安で仕方ない…


でも日向の前なんだから、しっかりしないと…