クールな彼と放課後の恋

最近意識し過ぎて、変に稲瀬を避けたりしちゃってたから…

こういう他愛のない会話でも、嬉しかったりする。




「へえ~F町の郵便局の近くのスーパーって、そんなに安いの?♪」

「そうなのよ~安いなんてもんじゃなくて激安よ!豆腐は30円だし」


なに!?

豆腐が30円!!?



隣の席のおばちゃん2人組の会話が、ふと耳に入ってきた。

私は耳をすまして、会話にかじりつく。





「あそこは野菜、肉、魚いつ行ってもなんでも安いわよ!」

「となり町だけど、自転車で行けばあっという間よね!運動にもなるし」



そんなに安いのか、そのスーパー!

めちゃ行きたいんですけどっ


うちの近くのスーパーは品揃えいいけど、別に安いわけではなく普通だし…





「…ぷ」

「…え?」


すると、横にいる稲瀬が吹き出して笑う。





「…カリスマ主婦なら、今の情報は聞き逃せないよな」

「き、聞こえてたの!?」

「だっておばちゃん達の声でかいし…そんでお前の顔見たら、今すぐにでもそのスーパー行きてえ顔してるから」

「・・・・」


恥ずかしい…

見られてたのね…






「帰りにそのスーパー行ってみるか?F町なら近いし」

「…いいの?」

「いいよ。俺荷物持つから、ついでにまとめ買いすれば?おばちゃんいわく、激安スーパーなんだろ?買いだめしとけ」

「うんっ!」


香穂と永井とお茶したあとの帰り道、稲瀬と私はその噂のスーパーに寄ることにした。










「玉ねぎが5こ入りで98円!?カボチャも1つ100円!!?」


スーパーに着くと…そこは私にとっては楽園。

というか…主婦にとっては、スーパー楽園な場所だった!



おばちゃんたちの会話通り、そのスーパーはかなりの激安で、

普段私が行っているスーパーに比べると…値段にかなりの差があり、いままで損していた気分になった。