私は稲瀬くんと陽葵ちゃんは、てっきり付き合ってるんだと思った…

付き合ってなくても、稲瀬くんは陽葵ちゃんのことが好きなんだと思った…



……………





「…だからね私も…稲瀬くんのこと好きになる前から、もう諦めてたんだよね。あの二人は、もう二人の世界があったし…」


最初から、稲瀬くんは陽葵ちゃんを見てた…

陽葵ちゃんも、稲瀬くんを見てたから…


私の入り込む隙なんてない。






「そっか、なら俺たちって…」




私の話を聞いた永井くんは、そう言って私に顔を近づけてくる。






「似た者同士だな」

「…っ!」


そして、ニカッと微笑む永井くん。

その笑顔に…ドキッとしてしまった…




永井くんて…

思ってたよりも、いい人?かも…


見た目はチャラいけど、よく周りを見てるし、フォローするのがうまいし、優しいし…



最初に抱いてたイメージと、全然違う。






「なーんかムカついてきたから、俺らであいつらのことちょっといじめちゃおうか?」

「…いじめるって?」

「両思いのくせになかなかくっつかないから、俺たちが影で協力するってこと。…って!あいつら中学生かよっ」

「ハハハ、中学生(笑)でも、稲瀬くんはどうして陽葵ちゃんに告白しないんだろ?」


好きなら、早く告白して付き合えばいいのに…




「今はいい友達関係だから、下手なことして気まずくなりたくないんじゃね?しかも一緒に住んでるから余計に…」

「あ、そっか…でも…陽葵ちゃんが稲瀬くんを振るわけないんだし、気まずくはならないと思うけどな…」

「だからムカツクんだって。お互い両思いだってわかってないところが!」

「なるほどね…」


納得しました。




「とりあえずあいつら探して、遠くからウォッチングしてやろうぜ♪」

「ハハ、そうだねっ」


ニシシと笑う永井くんに、またドキッとした…

私の、新しい世界が開いた気がした…