初めてだから、うまくお礼も言えないや…





「…座ろっか」

「え、あ…うん」


永井くんがベンチを見つけ、私たちは座ることにした。

人1人分くらいあけて、永井くんと並んでベンチに座る私。



男の人と、こんなふうに座るのも初めて…

今日は初めてことがいっぱい…





「…あいつらうまくいってるかな」





プラスチックの容器に入った、ヅラにゃんこのイラストがプリントされているカフェオレを、ストローで飲む永井くん。





「あいつらって…陽葵ちゃんと、稲瀬くん?」

「そ。…あの二人、そろそろくっついてもいいと思わね?」

「お、思うけど…なに?ってことは、稲瀬くんも陽葵ちゃんのことっ…」

「…好きに決まってるだろ、あれは。誰が見てもあの二人って相思相愛じゃね?」

「うそー!!!」



やったね、陽葵ちゃん!♪♪♪♪

私もそんな気がしてたけど、永井くんが言うなら間違いないよね!





「でも悠がなかなか行動しないってことは、やっぱりまだ怖いのかな…」

「…怖いって…恋愛がってこと?」

「うーん…っていうより、女が?」

「え?」


女が怖い?

稲瀬くんが…?





「悠ってさ…見ての通りカッコいいから、昔からすっごいモテてたわけ」

「…やっぱりそうなんだ…」


高校入学したときから、私も実はそう思ってた…

陽葵ちゃんには言ってないけど。






「もうそれは恋愛通り越して、ファンみたいになってて…中学の時とかマジですごかった」

「そんなに?」

「うん。毎週のように誰かに告られたり、なんかもらったりさ…一瞬羨ましく思えるけど…でも違った」





苦笑いする永井くん。





「中2くらいの時だったかな…それくらいから、悠のファンの女たちが急変し初めてさ…」

「…急変て…どんなふうに?」

「悠の家についていったり、私物盗んだりとか…あとイタ電イタメール…その他もろもろ…」