~香穂side~



『お前とは手繋がねえよ』



小学校の林間学校の肝試しで、当時片想いしていた人から言われた一言…

ペアになった男子とは、必ず手を繋いで肝試しのコースを歩くのがルールだった。


片想いしてる人とペアになれたことが、すごく嬉しかったから…

その分傷付いた…


私はその日から、男が苦手になった。



私は笹山 香穂。

人見知りで男嫌い、ゲーマーの根暗女子です(笑)



そんな私が今…

男子と手を繋いでいる…






「…」


永井くんに、無理矢理?でもないけど…手を引かれてから、お互い何も話さずにただ歩いている。


男子と手を繋ぐなんて、生まれて初めて…



緊急し過ぎて、汗がだらだら出る。

私…手湿ってる?



恥ずかしいから離したいけど、急に離したら感じ悪いかな…


今手を繋いでるのって、別にラブの方の行為ではなくて…

ただ、永井くんに手を引っ張られてるだけなんだけど…



だからこそ、急に離したりしたら感じ悪い…?


離す前に、一言声かけた方がいいかな…


でも、自分から話しかける勇気ないよー






「なぁ…喉乾かね?」




急に立ち止まる永井くんは、そう言って私の方を向いた。






「う、うん…そうだね…」


汗かいたから、余計に喉カラカラだよ…






「あれ?ヅラにゃんこカフェだってよ」

「えっっ!!」


ヅラにゃんこカフェ!?



あ…

思わずテンションあがって、大声出しちゃった…恥ずかしい…






「あそこでなんか買おうぜ」

「あ、うん…」


私と永井くんは、カフェの中へ入った。