そりゃあ、そうだよね。

さっき好きだって気づいた人が、急に現れたら…顔見れないよ…




「…今日早くから起きてたろ?いつもあんなに早起きなの?」

「えっ。なんで知ってるの?稲瀬も起きてたの?」

「ちゃんと起きてたわけじゃないけど、なんとなくわかった…」

「そう…ごめん、起こしちゃった?」

「いや、自然に起きただけ。いつもこんなに早く起きて、弁当作ってくれてるんだ…ありがと」




そう言って稲瀬は、私の頭をポンと撫でた。




…は、反則。

これやばいでしょっ





「ううん、全然っ…」


稲瀬から目をそらしてしまう…


ダメた。

意識しちゃって、稲瀬と普通に会話できないよっ





「ちょ、朝食つくるね!」

「…ん」


私は稲瀬にクルッと背を向け、階段を降りた。

後ろから、稲瀬が私についてくる音が聞こえたが…

なんだか恥ずかしくて…話しかけたり、見たりすることが出来なかった。


私はエプロンをつけて、キッチンで黙々と朝食とお弁当を作った。

その間に、日向と修君も起きてきて、それぞれしたくを始めていた。


稲瀬は洗面所で顔を洗ったあと、また自分の部屋へ戻っていき、制服に着替えたあとまた下に降りてきた…




制服姿の稲瀬…2日ぶり。

やっぱりカッコいいな。


テーブルに食器を並べながら、チラチラ稲瀬を見る。



部屋着姿の稲瀬も、カッコよかったけど。

制服姿も好き。


あーヤバイ!

胸がキューーとなるよ!





カタ…



ハッ…!


すると、私のいるキッチンに来て、テーブルの椅子に座る稲瀬。

私の背中はピンと張り、まるで操り人形のように動きがおかしくなる。



好きな人と同じ空間にいるだけで、こんなに緊張すんの!?

この分じゃ、私…この先身が持たないよ…






「藤川」


ビクッ


食器をささっと並べ、キッチンに戻ろうとすると、稲瀬が私を呼んだ。