「で、何があったんだよ。眠いからさっさと話せ。手短に」


『お前、聞いたらぜってー目覚めるぞ』


 本気で閉じそうな瞼を必死で持ち上げようとしている恭也は、顔を見なくても慶が今どんな顔をしているか、その声から察する。


 聞こえた喉を鳴らすような笑い声は、何かいいことがあったときに出る慶の癖とも言える。


 電話の向こうでにやけているだろう慶の表情を想像して、恭也はめんどくさそうに寝返りを打つ。


 これは話が長くなりそうだと、ぼんやりする思考の中、恭也は適当に相槌うって適当に切ろうなどと考える。


 でも、そんな考えは僅か数秒後には、あっさりと消え失せるのだった。


 それは、慶が落としたひとつの爆弾が原因だった。