「……拗ねちゃって、どうしたんですか? 亜希ちゃん?」


 おちょくるようにそう言えば、亜希は頬をむくっとふくらませた。


 どうやら怒っているアピールらしいけど、それはどこからどう見たって男を誘う顔だ。


 なんて、もったいないから教えてなんかあげないんだけどね。


 だって、亜希のこんな顔を見られる機会って、ほとんどないんだからさ。


 もっと見ていたいじゃん?


 目を細めてニヤニヤと、自分でも理解している俺の精一杯の意地の悪い笑顔を浮かべて亜希を見れば、むっとした顔で何か言いたそうに口をもごもごさせている。


 ……あー、ちくしょう。


 なんでこの子、こんな可愛いんだろうな。


「何か言いたいの? 言ってみ? 拗ねてる亜希ちゃん?」


 なんて、亜希のほっぺをつんつんとつついてみる。


 なんかこう、いじりたくなるんだよな、亜希って。


 つーか、ほっぺぷにぷになんですけど。


 餅かよ、なんだよコレ。