あの時は急にどうしたのか疑問だったが、その理由がわかったのは2年になった宮下の担任になってからわりとすぐのことだった。


 彼女が熱で倒れた保健室で、俺は佐伯が変わり始めた理由を知った。


 ……とまあ、俺がそこで何を知ったのかは、ここでは置いておくとしよう。


 とりあえず、卒業していった佐伯の近況は宮下の様子からわかる。


 佐伯の隣りには、今は宮下がいる。


 どんなつらい過去もきっと、佐伯を変えてくれた彼女となら乗り越えられるだろう。


 もう、必要以上に心配することはなくなった。


 そんな俺の、最近の観察対象。


 それは言わずもがな、宮下亜希。


 ちなみに彼女がリンゴジュースを好きなのを知ったのは、校内で見かける彼女が必ず片手に持っていたから。


 宮下が以前俺に言った俺のストーカー疑惑はこれで晴れたことだろう。


 ついでに言うと。 


 宮下を特別な感情で見ていたと思っていた人もいるであろうが、断じてそうではないということをここに証明する。