俺の為に努力をする姿を知った。


 どんなことにも真っ直ぐ向き合う彼女を知った。


 俺に染められていると言った彼女は、きっと知らない。


 俺も、彼女色に染まっているっていうこと。


 空を見ると浮かぶ彼女の顔。


 一番に浮かぶのは、優しく微笑む笑い顔。


 いつだって、隣りにいなくたって、俺のみる景色の中に彼女はいる。


「恭也くん、大好きだよ」


 彼女は小さく小さく、呟いた。


 ……ああ、彼女とはもっとゆっくりとふたりで歩んでいきたいのに。


 予定ではもっと先だったのに。


 今日は朝から余裕がなかった。


 自分の中にわきあがる、彼女への愛しさに蓋なんかできなくて。


 夕日に染められた俺たちの姿は、ふわりと一瞬だけ、重なった。