彼女たちは俺の受け持つクラスではなかったが、話はいろんな生徒から聞かされたし、噂は自然と耳に入った。


 男子から絶大な支持を受けているその4人が一緒のクラスでグループになっていることや、男子から人気があることなど。


 男子生徒からその手の相談を何度かされたことがあるが、そこで出てくる名前は必ずその4人のうちの誰かだった。


 中でも、“宮下亜希”の名前は1番頻繁に聞いただろう。


 そんな彼女を、校内で何度も見かけた。


 目立つ4人ということもあって、いればすぐにわかった。


 大抵彼女たちはいつも4人で固まっており、友達に囲まれている宮下は、常に笑顔だった。


 にこにこ笑って優しいオーラを醸し出す雰囲気からも、宮下がモテるのはすぐに理解できた。


 男子から人気があるから女子には疎まれているのかと思いきや、いろんな女子からもよく話しかけられていて、男女問わず好かれているようだった。


 例え立場が教師だったとしても、俺も男なわけで。


 ああいう子が本命ポジションにつくんだろうな、とか。


 あんな可愛い子を彼女にできた男は幸せだろうな、とか。


 そんなことを考えるときもあった。


 ……実際のとこ、今のあいつにこんな教師らしからぬことを考えてたなんて知られた日には、きっと俺はただじゃ済まされないだろう。


 だから、こんなふうに思ったことは生涯心にしまっておこうと思っている。