気がつけば時計の針は電話し始めた時間からかなり進み、朝は間近に迫っていた。


 実家が花屋の慶と受験勉強のため早く起床する恭也の、最近の起床時間は大体同じくらい。


 小一時間後にはもう起きなければいけないことを、時計は無情にも指し示す。


『やべ、もうこんな時間かよ。やべえ』


「だな……。さすがに俺も眠い。つーか、慶が喋り過ぎるからこんな時間になったんだろ」


 自分だって割と乗り気で話していたくせに、恭也は悪いのは慶だと吐き出す。


 少しばかり頭の弱い慶は自分の所為にされたことにも気づかず、素直に謝罪を述べるのだが。


『わりーな。一時間くらいしかねーけど、お互い少しは寝た方がいいだろ。切って寝るか』


 珍しくまともなことを言う慶に賛同した恭也。


 正直少しでも寝ておかないと授業もキツイ。


 今から寝てちゃんと起きられるのか不安は付きまとうが、今更襲ってきた睡眠欲にあらがえるはずもない。


 それは恭也も慶も同じだった。