「……だからさ、ベートーベンの曲って、泣く時にぴったりの曲だと思うよ」 及川くんは『ね?』って 首を傾げながら笑った。 「もっと泣いていいよ」 及川くんの大きい手が私の頭に触れる。 こんなの、子どもっぽい。 ……そう、思うのに。 及川くんのそんな一言に私は今まで我慢していた涙が溶かされるように流れでてきた。 不安もストレスも悩みも、全部、溶かされていく。