特別な名前。 私だけの名前。 お母さんがくれたどんな物より宝物。 『僕、及川すばるは今日を持ちまして、ピアノをやめます。』 マイクごしに響くすばるの声が聞こえてくる。 『今まで支えてくれた家族や、留学の準備してくれた方々にはお礼と申し訳ない気持ちでいっぱいです。 けれども、後悔はしていません。 ずっと近くで見守っていただき、まことにありがとうございます』 話が終わり、すばるはぺこっと頭を下げると、何事もなかったかのように、ステージを後にした。