「お盆休みにお墓参り、私だけ行かなかったから……。遅いかもしれないけど」 『佐野家』とかかれたお姉ちゃんのお墓を前に両手をあわせて、黙祷する。 意識が黙祷に集中する前にお母さんの声がかすかに聞こえた。 「遅くなんてないわよ……」 10月の風が耳にあたる。 お母さんの言葉は風と一緒に飛ばされたけど、私の体にしっかり刻み込まれている。 「お姉ちゃん、ごめんね……」