「あっ」我に返った玲は、大きな声を出した。

すぐ声を上げた口を両手で隠すと、しまったという顔で周りを見渡した。図書館での大きな声は厳禁。

帰ろうか、と里子に向かって、口を動かした。

玲の唇の動きを理解した里子は、表情を崩さず頷いた。