「来んのが遅い、優叶。」
そう。
コイツこそが、私の幼馴染み謙、女子の歓声の原因、由沢 優叶。
胸に違和感があったのは、優叶が私の制服を掴んでいるからだった。
「悪い悪い、今日も女子達に囲まれちゃってさ。
何で毎日毎日、女子は集まって来んのかね。」
欠伸、背伸びを同時にするほどお疲れの様子の優叶。
女子があんたに集まる理由は、あんたがイケメンだからだよっ!
私は心の中でそう、優叶に突っ込んだ。
「んじゃ、帰ろっか。」
「……ん。」
ああ、もう。
その顔止めてよ。
ほんわかとした笑顔。
その顔に、弱いんだから、さ。



