僕は鬼切丸に縋り付いた。
こんな物騒な物に心安らぐなんて、きっとこれが、唯一僕の頼れるものだからだ。
「わしは刀守。わしの姿は、他の者には見えん」
ややあってから、ぽつりと佐馬ノ介が言ったんだ。
僕は佐馬ノ介をまじまじと見た。
そう言われても、僕から見た佐馬ノ介は、普通の人間だ。
別に透けてるわけでもない。
「茨木童子という鬼を知っておるか」
何か聞いたことある。
何だっけ。
「昔々の、京にいた鬼だっけ。違うな、京の女子を攫ってた大江山の鬼か。確か、何とかいう武将に斬られた……」
「ちょっと違うが、まぁそんなところだ。わしは、その血を引いておる」
僕はちょっと身を引いた。
鬼の血を引いてるって。
だったら鬼の仲間じゃねーの。
「九鬼一族は、苗字からもわかるだろう。そういう一族。簡単に教えよう。茨木童子は平安の昔に、一人の武将に討たれた。そのときに助け出された女子の腹に、すでに宿っていた赤子から始まった一族なわけだ。故に、鬼を滅ぼす力を持つ。九鬼が代々お守りしてきた刀がそれよ。が、おいそれと使いこなせぬ刀でもある。鬼切を使えるのは、鬼を退治した平安の武将の血を引く者。宗士、お前の姓は、渡辺だろう」
こんな物騒な物に心安らぐなんて、きっとこれが、唯一僕の頼れるものだからだ。
「わしは刀守。わしの姿は、他の者には見えん」
ややあってから、ぽつりと佐馬ノ介が言ったんだ。
僕は佐馬ノ介をまじまじと見た。
そう言われても、僕から見た佐馬ノ介は、普通の人間だ。
別に透けてるわけでもない。
「茨木童子という鬼を知っておるか」
何か聞いたことある。
何だっけ。
「昔々の、京にいた鬼だっけ。違うな、京の女子を攫ってた大江山の鬼か。確か、何とかいう武将に斬られた……」
「ちょっと違うが、まぁそんなところだ。わしは、その血を引いておる」
僕はちょっと身を引いた。
鬼の血を引いてるって。
だったら鬼の仲間じゃねーの。
「九鬼一族は、苗字からもわかるだろう。そういう一族。簡単に教えよう。茨木童子は平安の昔に、一人の武将に討たれた。そのときに助け出された女子の腹に、すでに宿っていた赤子から始まった一族なわけだ。故に、鬼を滅ぼす力を持つ。九鬼が代々お守りしてきた刀がそれよ。が、おいそれと使いこなせぬ刀でもある。鬼切を使えるのは、鬼を退治した平安の武将の血を引く者。宗士、お前の姓は、渡辺だろう」


