木村家の次男だった自分は、何に至っても兄より劣っていた。
親は二人ともプライドが高く、だからこそできる兄の方を優遇していた。
兄は絵を描けば表彰され、学年では小・中・高と常にトップの成績順位。そんな兄を横目に、自分は特に目立つこともなく過ごしていた。
誰かに褒められるわけでもなく、認められるわけでもなく、おとなしい人間だった。
やがて兄は大学へ進み、兄なりに歩んでいった。
自分はと言うと、高校2年だったがまだ進路に悩んでいた。
親は大学へ行けというが、行ったところでやりたい事は見つからなさそうだった。
日に日に親と揉めることが多くなって、家に帰らない事もあった。
そんな時、行っていた場所は祖母の家だった。
祖母はいつでも自分を、暖かく優しく迎えてくれて、よく話を聞いてくれた。
進路で悩んでいる事をひとしきり祖母に話した。
その時の自分はいつも涙を流していた気がする。何かが悲しいわけじゃない。自分自身に腹が立って、悔しくて泣いていたのだ。
ある日そんな自分に祖母はある物を持ってきた。
それが『カメラ』だった。
デジタルカメラなんていう便利な代物ではない。昔ながらの古めかしいフィルムのカメラだ。
そのカメラを祖母は自分の顔の前で抱えて、慣れない手つきでシャッターを切った。
『カシャッ』
「写真は嘘つかんよ?」

