走って走って家に帰って、思い切り自分の部屋の扉を締めた。 ーー「あのね、怜…、彼女さんの鞠、さんの記憶だけ無くなってて、それで…」 なんであのときあたしは気付かなかったんだろう。 ーー「鞠、さんとの記憶と、なっちゃんとの記憶が、混ざってる、の。」 明らかにおかしい怜の態度。 寂しかったからと言って、あそこまで号泣するわけがないじゃないか。