常にネイティブな奴らと接する様にしていた俺は、大学のジムで2人のアジア系アメリカ人と仲良くなった。 

そいつらが安いアパートへ引っ越すというので、ホストファミリーにウンザリしていた俺も相乗りした。 ある日そいつらが俺を迎えに来る。 車に乗って新しいアパートへ引越し。 大学より南の方へ・・・昼間なのに何故か暗い不陰気・・・明らかに何かが違う。 着いた場所は黒人しか住んでいないスラム街。

『・・・おっ、おい、何だよここ・・・大丈夫なのかよ』

『ここまでひどいとはな・・・でもしょうがねーだろ~、金ねーんだからさー』

大学へ行きたいと思っていた俺は、自分の預金をセーブせざるおえない状況だった。 ましてや死んでも親には『金が無いから助けてくれ』などとは言えない。 月1万円の家賃で3DK・・・部屋には鍵が無数に付けられていた。 『

あと少しの辛抱・・・大学に入ればもっとましなトコに住めるだろう』と思い、とりあえずそいつらと一緒に入居する事にした。 白人に対しての怒り、英語上達への壁、日本文化禁止、お金のセーブ、そして自分の将来への焦りから、ここに住むしかなかった。 

隣の部屋はドラッグディーラーが住んでいて、『用意した物は出来てるか?』などと間違えて俺らの部屋に色んな奴らが来る。 夜中1時を過ぎているのに小さな子供達がオモチャの鉄砲を持ってギャングごっこをして遊んでいる。 毎晩の様に逃亡者を追うヘリが空から部屋を照らす。 パトカーのサイレンの音や銃声が聞こえてくる。 焚き火をする浮浪者達、いかにも病気持ってそうな売春婦達、薬でブッ飛んでるヤツ達がゾンビの様に街を歩き回る。 アパートの警備員ですらマリファナを片手にヘラついている。