でも…言えない。 紗笑がこっちに来て俺を見る。 「何?なんか顔に付いてるか?」 「ううん。なんもない。」 いつもの紗笑の元気さはなかった。 肉を焼くことに集中していたらクラスの女子が、 「あれ、西崎じゃない?しかも背中に背負われてるの中山さんじゃん!!」 と、言ったので俺も集中が途切れみんなが指差している方に目をやった。 あっ…。 俺の心は苦しくなった。