恋じゃなくてもイイですか?



「やにれ荘の新ルールが決まった所で、もう1つ、僕からの提案いいですか?」


「どうぞ」


急にハルニレが真面目な顔をしたので、姿勢を正し、頷いた。


「本宮さんがここに内見に来た日から、ミーちゃんの姿が見えません。2週間経った今でも、ミーちゃんは行方不明のままです。だから僕は、本宮さんは実はミーちゃんで、人間の姿で僕の所に戻ってきたと思うことにします」


絵本作家のハルニレらしいメルヘンな発想だけれど。私はちらりと横目でテレビの棚の前に並ぶミーちゃんの写真を眺める。


「よく見ると、目元とか髪の色とか、本宮さんはどことなくミーちゃんに似ている気がします。なのでこれから本宮さんをこれからミーちゃんと呼ぶことにします」


「えっ?」


ハルニレはそう宣言した。お世辞にもカワイイと言えない、丸々と太った茶トラの猫が私に似てると?しかもミーちゃんってオスなんでしょ?何か、ショック・・・ショックだけれど、


「いいよ、それでハルニレくんの気が済むんだったら」


「はい、ではそうします」


ハルニレは満面の笑みで微笑んだ。


それでは食事の続きと箸を取り、ハルニレのお婆ちゃんが作った素朴な味のポテトサラダを頬張った。





こんな風にほのぼのとした雰囲気で始まったハルニレとの生活は、約1ヵ月を過ぎた。まだ1ヵ月しか経っていないのに、ずっとここに住んでいたような感覚になっている。それ位、ここでの生活は心地のいいものだった。