私なりに励ますものの、ハルニレの背中には哀愁が漂っていた。


「僕もご飯にするとしましょうか」


料理をする私を横目にハルニレがぼそりと呟く。棚からカップラーメンを取り出し、冷蔵庫からタッパーに入ったポテトサラダを取り出す。


「ハルニレくん、もしかしてそれが夕飯?」


確か昨日の夜もカップラーメンを食べていた気がする。「はい」と頷く。その前はレトルト食品とか、ハンバーガーとか・・・そんなのばっかり食べていたら体に悪い気がする。


一応、やにれ荘の後ろに住むお婆ちゃんが、1人暮らしのハルニレに気を遣って、多めに作ったおかずを差し入れてはくれてるみたいだけれど、毎回じゃないし、それ以外は料理が出来ないのかするつもりがないのか既製品ばかりを食べている。


ハルニレって小柄だし、私より痩せてるし、顔色も青白い。あんまり食べることに興味がないのかもしれなかった。とりあえず、空腹が満たされればいいやみたいな?見た目に感じる不健康、そんな食生活は絶対良くないはずだ。そうやって、人の食生活にまで首を突っ込むからオカンみたいだと言われて、振られるのだ。


思い出したら、また泣きそうになってきた。3年付き合った彼を忘れるには、まだ時間がかかりそうだ。


でも、きっと私の性格はこれからも変わらないと思う。電気ポットに水を入れているハルニレに思い切って訊いてみた。


「これからパスタ作るけど、良かったらハルニレくんも一緒にどう?」


「えっ!?いいんですか?」


期待以上のキラキラした眼差しに、心がじんわりと温かくなる。


「うん」と照れながら答える。