ハルニレくんの代わりに桐生くんがスマホで検索をしてくれ、「ホラ、これだよ」と教えてくれた。
知っている人が描いた絵本が出版されてるなんて、凄い。
後で本屋で探してみようと題名をチェックする。
「本宮さんは今、何してるの?」
「私、普通にOLだよ。・・・桐生くんは?」
「俺はデザイナーとしてジュエリーショップで働いてるんだ」
「ジュエリーデザイナーなの?すごーい」
「まぁ、聞こえはいいけど、まだ半人前だよ」
少し照れたように、桐生くんは答えた。
ハルニレくんといい、桐生くんといい、自分の才能が生かせる仕事についてるんだなぁ。
好きなことが仕事になるなんて、羨ましい。
何も取り柄のない私は、得意なことも好きなことも得になしなんだけど。
少し落ち込んでいる自分に気付く、結芽が気を遣って誘ってくれた飲み会なのに、落ち込んでどうする!と自分を叱責し、背筋をのばして座り直した。
「じゃあ、後はそれぞれで楽しむってことで」
「楽しかったぁ、またみんなで集まろうね」

