桐生くんは人懐っこくて、誰とも仲良くなれます!みたいな感じだったので、無口で彼の後ろにそっといるハルニレくんは背後霊のような気がしてた。
ものすごく失礼かもしれないけれど。
「確か・・・●●大の・・・本宮さん?フランス映画が好きな」
「そう、そこまで覚えてくれてたんだ?」
意外でちょっと嬉しくなる。
ハルニレくんはテーブルの中心に置かれたチーズナチュに手を伸ばし、ポリポリと前歯で音を楽しみながら食べている。
その動作が小動物みたいだなと思った。
「ハルニレくんは今、何してるの?」
集合場所がオフィス街で、スーツを着ている人もいる中で、ハルニレくんはいつもの私服だったので、気になっていたのだ。
素朴な疑問をしてみる。
「僕は、一応フリーのイラストレーターというか・・・」
「コイツ、在学中に絵本作家デビューしたんだよ。ネットとかで買えるよ、ハルニレの本」
ハルニレくんの隣に座っていた桐生くんが彼の肩を抱き、話に加わってきた。
「絵本作家?すごい、何ていう本なの?」
絵心と芸術的センスのない私は驚くばかりだ。

