「ここにいる男子って、みんな●●芸大の人たちだっけ?」
「あ、俺以外はそうだね。あのサークルって色んな大学混じってたから、誰がどこの学校とか解んなかったよなぁ」
「そうそう」
みんな思い出話に花が咲いてるなぁ。
うんうんと頷きながら、会話を楽しむ。
ちらりと隣の席を見ると、猫背な男の子が、サングリアのフルーツをつついていた。
彼の名前は確か・・・
「あ、はるにれくんだ」思わず、声に出てしまった。
急に名前を呼ばれ、驚いたのか目を丸くしてこちらを見ていた。
田中はるにれ・・・その珍しい名前と独特の雰囲気は覚えている。
最後に会ったのは就活始める前くらいだっただろうか?2年以上ぶりになるけど・・・
伸びた髪を手ぐしでまとめて後ろでおだんごを作って、ゆったりした着心地が良さそうな服のチョイス。
全体から醸し出すゆる~い感じはあの頃の印象と全く変わってなかった。
私のことは覚えているかな?ハルニレくんは桐生くんの友達で、桐生くんに誘われて映画サークルに入ったみたいだった。
話し掛ければ話すって感じで、寡黙なイメージがあった。

