たまたま営業先に向かう途中でふらりと立ち寄った店に、彼がいたらしい。
「思わぬ偶然に、久しぶりだね~なんて話してたら、今度みんなで飲もうかって話になって、あの頃のメンバーを何人か誘ってみるって話になったんだ」
学生時代に戻ったつもりの飲み会、みんなに会うのも久しぶりだし、気分転換に行ってみようかな・・・そして私は、結芽と桐生くんの主催の飲み会に参加することになったのだ。
飲み会の場所はオフィス街に立つ、駅ビルの中の多国籍ダイニング。
イルミネーションのような鮮やかなライトが天井から藤の花のようにぶら下がり、看板やメニューがネオンで示されている。
ガラス張りの店内からはオフィス街が眺められ、レンガみたいなブロックで舗装された通りを行きかう人々が見えた。
幹事の結芽は巨大なタンブラーに入ったサングリアをみんなのグラスに注いで回る。
通された席は大きな円卓で、その周りを囲むように男女4-4の8名が座っている。
「あ、俺、モヒートがいい」
「何か適当に食べ物頼んじゃうよ」
「みんなグラス持った?」
「とりあえず、かんぱ~い」
グラスが重なり合うと、みんなが再会を祝した。
結芽は店員さんを呼び、メニューのオーダーに忙しそうである。

