「映画サークル」とは名ばかりで、月に2、3回、みんなで映画を見に行って、その後、その映画について語り合うというようなサークルだった気がするが、明らかに映画よりも、その後の飲み会の方がメインだったし、バイト先で彼氏が出来てからはそのサークルからも遠のいていった。
きっと、結芽も同じような理由で、幽霊部員のような感じになってたと思うし。
「桐生くん」と言われて、正直ぱっと顔が浮かんでは来なかった。
一応、部員は20名位いたらしいが、その時によって来る人は、人数の顔ぶれもバラバラだった。
「美大出身で、すらっと背の高い男の子いたじゃない?何かつるっとしてて彫刻みたいな、覚えてない?」
美大・・・背の高い・・・彫刻・・・?
「あぁ!」結芽のヒントでやっと思い出した。
そういえば、何回か一緒に飲んだことがあった。
確か彼は出会いを求めるためのサークル活動ではなくて、真面目に映画が好きでサークルに入っているようだった。
気に入った映画を語り出すと止まらない。
端正な顔をしているのに、もったいないなと思った記憶がある。
確か彼はいつも一緒につるんでいる同じ大学のアーティスト仲間がいた。
みんなそれぞれ独特な雰囲気を持った人たちだったなぁと思い出す。
「で、何でいきなり桐生くんと飲み会?結芽って仲良かったっけ?」
「当時はただ飲み会になったら話す程度だったけど、この間偶然、再会したの」

