「そうやって、いちいち泣くのもうぜぇ・・・」
ぼそりと独り言のように呟いた一言も、ばっちりと耳に入ってきた。
いつの間に、2人の気持ちにズレが生じたのだろう?
いつの間に、彼の気持ちがこんなに冷めてしまったんだろう?
発せられたサインに気付かなかったのは私?思い返してみれば、最近は残業や先輩の付き合いが多かった気がする。
ここに帰ってくるのが嫌だったの?私に嘘を吐いて、さっきの女の人と会ってたの?
いつの間に?
・・・私が悪かったの?
いつか彼と結婚したい。
そんな気持ちが彼にプレッシャーを与えていたの?
私はただ、大好きな彼とずっと一緒にいたいって思ってただけなのに。
その気持ちって男の人にしたら重いの?・・・もう、彼が何を望んでいるのか解らなくなってきた。
流れてくる涙を拭って、寝室に向かう。
クローゼットの中から一番大きなトランクを取り出して、荷造りを始める。
彼はその間も何も言わず、ソファに横になったまま、テレビを見続けていた。
私の事、もう見てもくれないんだね。

