『ようこそ!海と山の町、古美浜へ!』

「まんまかよ……」
思わず口に出してしまう。
捻った結果がこれだったのか、それとも考えるのが面倒だったのか。
古美浜という地名も古いという文字が入っているだけでピッタリだと思ってしまう、そんな不思議な力が入っている気がした。

この日本にはこういう町がいくつあるのだろうかと考えながら僕は看板の前に立ち尽くしていた。
一応、この駅である人物と待ち合わせということになっている。
ちなみに看板の前というのは思いっきり車道のど真ん中を指している。
車が来る気配は一つもない。
というかこの町にははたして人はいるのだろうかという素朴な疑問が脳内をよぎった。
百パーセント、過疎化はすすんでいるだろうからこれがこの町の普通なのかもしれない。