一話


駅から乗り換えて約三十分。
トンネルを抜けるとキラキラと光る海が目に映る。
背には山、正面に海があるそのさまはまるで都会から忘れ去られようとしている田舎の港町のようだ。
いや、まさにそのとおりであるのだが……

雑草の生えた無人駅に到着する。
電車内には車掌と僕自身しかいなかった。
電車から降りると春先の暖かい太陽の光が僕を照らす。
眩しくて目を細める。

改札のようなものを出るとすぐそこに大きな看板が立っていた。
そこにはシンプルな黒文字でこう書かれてあった。