空音を奏でる宙


二階建てのアパート。
部屋数は一階に四室、二階に四室の計八室。
一年前に改装したとあって建物自体はとても綺麗である。
「はい、あんたの部屋は二○三号室ね。」
あしらうように大家は僕に鍵を投げつけた。
鍵をキャッチするとそこには二○三号室と確かに書いてあった。
その鍵の重みにある感情が込み上げてくる。
嬉しさだ。
こんな僕でも一人暮らしという言葉に心が躍らなかったわけではない。
足取り軽く、階段を駆け上がる。
左に曲がり、軽く進むと二○三というプレートのかかったドアを見つける。
「ここかっ……と?」
そこで一つ気になる点を見つける。

(鍵がかかっていない?)