「まあ、一通りは……いわくつきの物件ってことだったと思うんですけど、それがどうかしましたか?」
心霊現象とかそういうのは正直苦手だが仕方ない。
「いや、いいの。別にたいしたことではないから……?」
そんな曖昧な返事に何の意味があるのかはそのときは分からなかった。
車に揺られて十五分。
アパートに着いた。
駅からかなり離れた場所にあるアパート。
そんな立地条件のためか、それとも例のいわくつきのためか家賃は格安。
水道代や光熱費などを込みで一万五千円というのは一人暮らしをする学生にとってはかなり嬉しいことである。
何せ半ば強引に家を飛び出してきたのだ。
家からの援助もあってないようなものだから、バイトをするのは確定事項である。

